手のひら大に詰まった軽やかさ/不室屋の「ふの福袋」
年始のものは年始っぽさのあるうちに書いておきましょう。
金沢の初売りでは福袋もひとつ購入しました。福袋なんて何年ぶりかなあ。
以前こんな記事を書きました。
この「宝の麩」や賞味期限が当日中の「麩まんじゅう」、それにサクサクが止まらない「おやつ麩」も買わないとねー、と不室屋さんに向かったところ、店頭には見慣れないピンクの袋が。
手のひらサイズだし、お麩なので持ち上げてもふわっと軽いし、何より贔屓のお店の縁起物。これも購入してみました。お値段は税込1,000円。
中身はこのとおり。袋の紐が結べるぎりぎりまで目一杯入っていました。お麩も割れ物だし、詰める人は大変だったんじゃないかなあ。
次々と取り出すと、定番のお麩や華やかな加工麩。「宝の麩」は年始にだけ販売されている「福うめ」です。
左下のリーフレットには、それぞれのお麩の調理法が載っています。あれこれ使っておいしいもの作ろう。「お麩研究部」のレシピを参考にしてもいいかも。
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学生の頃は好きな服屋さんの福袋を買って中身を友人や親類と交換したりもしたけれど、最近は「わくわく感」よりも「好みでないものの使い道に悩む面倒さ」が勝って、滅多に買わないようになりました。
その頃には興味がなかった食品の福袋。現実的で生活感があるかもしれませんが……大人になった、と言い換えておきます。大人の生活のわくわくを買うのも悪くないですね。
今年もお年賀に/森八の干支飴(2017年・酉)
初売りに行ってきました。ここ数年は金沢で、一年の最初の買い物をしています。
北陸新幹線の開通後、年末年始の混雑も体感では数倍。帰省しやすくなったひとも多いのかもしれません。一昨年は12/30に街中で飲もうとしたら、10軒くらい連続で満席だったり。……ゆったり歩くのが楽しい街なので、ピークにぶつからないように行くのがおすすめです。
(でも、人が一番多いお盆と年末年始を敢えて無料開園日にしている兼六園の太っ腹さもかっこいいなあとも毎年思います。)
話を戻しまして。まずは数年前に買ったきり、うっかり見逃していた年始のお菓子を買いました。
「御年賀」の包みでおなじみ、森八の「干支飴」。今年はもちろん、酉年なのでにわとりの絵柄です。かわいい。
今回は自分用に購入。仕事始めの今日から一個ずつ口にしつつ身体を動かして、徐々に年始モードから日常モードに戻していきます。
昨年は新しい仕事に挑戦したり挫折したり、全力で遊んだり身体を壊したり。波のある年でしたが、悔いの無い年でした。
今年も良い年でありますように。以前に購入したのは3年前だったようです。
立ち寄った店舗では売り切れていましたが、十二支がカラフルな飴になった「干支 福あめ」も華やかな可愛らしさです。
morihachi-shop.com
今年も不定期更新ですが、続けていきます。
よろしくどうぞ。
この柔らかさをどう伝えよう。白亜器の個展「掌のなかで」
数ヶ月前に「猫徳利」なる写真をTwitterで見かけて非常に気になり、実物を見てみたいなーと機会を伺っていました。陶器のうつわや猫雑貨を作られている「白亜器」さんの作品です。
猫徳利も鎮座してみなさまのお越しをお待ちしております☆彡#ねこまつり #湯島 #猫 #白亜器 #徳利 pic.twitter.com/HXlTVgalJ3
— 東京・湯島 王冠印雑貨店 (@Zakkaya_Oukan) 2016年3月5日
今月頭の東京滞在中、南高円寺のカフェギャラリー「mo mo mo」で個展が行なわれていると知り行ってみました。賑やかなパル商店街から路地に入り、各種小さなお店とスーパーとが向かい合うあたりに到着。途中、古着屋さんの前を通るたびに目移りします。
カフェなのでまずは飲み物を。このカップも白亜器さんの「たまごカップ」だそうです。さらさらとなめらか、卵の殻のようなずっと触っていたくなる手触り。サイフォンのコーヒーおいしいです。
だんだん日が落ちてきました。一息ついてから店内を見学します。
夕日が差し込んで居心地の良い時間。目の前には、上が淡い水色/下がみたらし色の品の良いお猪口。
(以下、写真OKのとのことでスマホで撮っていますが、作品についてはもっともっと良い写真をweb上でたくさん見ることができますので公式サイトや画像検索がおすすめです)
置物「つるしねこ」たち。
奥の棚には「たまごカップ」。
その他、柔らかい白、たまに黒のうつわも並びます。
店内中央には猫の大物「猫香炉」が鎮座。上半身を開けると、おなかの中にはお香立て。お香を焚いて上半身を被せると、口から煙が ぷか〜… と漂うという作品。存在感抜群です。(売約済みでした)
中はこんな感じです。焚いているところは見ていませんが、良さそう。
猫香炉の構造と解説☆彡
— 東京・湯島 王冠印雑貨店 (@Zakkaya_Oukan) 2016年3月13日
お腹をぱかっと開けるとお香立てが入っています。コーンとスティックどちらも使用できます。外国製のお香はあまり向いていないようです。お香を焚くと猫が煙を吐きます。#王冠印雑貨店 #湯島 #猫 #白亜器 pic.twitter.com/7kutElYCb8
お客さまからのリクエストで猫香炉でお香を焚きました(^-^)/やっぱりかわいい♪こちらの猫香炉はオーダーで承っております。#香炉 #猫 #白亜器 #王冠印雑貨店 #湯島 #御茶ノ水 #本郷 #末広町 #雑貨屋 pic.twitter.com/J5wQpUXDjD
— 東京・湯島 王冠印雑貨店 (@Zakkaya_Oukan) 2016年10月9日
そして、猫徳利ともご対面。お隣には猫がくつろぐお猪口も。
そーっと触ったり持ち上げたり見つめたりしました。かわいい……。
掲げているお猪口?の底には穴が空いていて猫と一体のとっくり型。茶色の模様部分だけつるっとした手触り。ぽてっとした体型にこの姿勢や表情、なんとも言えない健気さです。
猫香炉も猫徳利も、造形の良さと発明の要素が組み合わされているところが唯一無二の良さだなあと感じます。
ほかの一角には猫の箸置きたち。
あれもこれも欲しい。散々悩んで、今回はシンプルなボウルをひとつ購入しました。両手で持ったときすっぽり収まる大きさと丸さ、そしてたまごカップと同じ手触りの良さ。クリーム色がかった白い柔らかい色。おやつを入れたりして使おうと思います。
店内に掲示されていたこちらの文も気に入ったので、まずはうつわだな、と。
猫徳利にもやっぱり強烈に惹かれるので、もうちょっと検討してみます。
個展は既に終了していますが、実物の質感や存在感がまたいいので、いずれまた目にする機会も見つけたいところです。そのときは誰か誘って行こうっと。
まっくろ鉄製やかんで湯沸かし/南部鉄瓶
生まれも育ちも盛岡で、南部鉄器は小さい頃から身近なものというより…そこらへんにあるものでした。
小学校の卒業記念品が南部鉄器のペン立てだったり。
家に南部鉄器のたこやき器があったり。
会社や学校の応接間には、必ず南部鉄器の大きな灰皿が鎮座していたり。
(こんなの)
まっくろ、ずっしり、ごつごつしたそれらに特に愛着はありませんでしたが、地元を離れて身近で見かけなくなってみると、妙に愛おしく見えるようになってくるんですね。
以前プレゼントで使った急須も可愛かったし、近年ではカラーの鉄器も増えてデザインや色の幅もぐっと広がっています。そろそろ自分用の鉄瓶を買ってみようかな。
やかんの割にはお値段も張るし長く使えそうなものなので、帰省の度に工房やお店を少しずつ見て回ること数年。やっと購入したのが2014年春のことです。
地元の伝統工芸やお菓子の工房を集めた施設「盛岡手づくり村」にある藤枝工房さんで、小ぶりな「7型あられ」(0.9L)を選びました。
南部鉄瓶には使い方にいくつかコツがあります、それさえ守れば一生どころか何代も使えるよ〜と長口上のような説明を聞いて購入。
それから2年半、ほぼ毎日快適に使っています。じっくり検討して良い買い物ができました。
検討する際のポイントが色々あるのと、それがまとめられている記事がネット上には案外少ないのでは?と思い、購入品の感想とともに書いてみます。
えらぶ際のポイント
お湯を沸かすのか、お茶を淹れるのか
「鉄瓶」と「急須」はどちらも「南部鉄瓶」と言われがちなのですが、このような違いがあります。
鉄瓶(=やかん)
見分けかた:内側にコーティングなし(鉄そのまま)
色:黒のみ
価格帯:家庭用で6千円台〜3万円くらい
直火:可(弱火のみ)
特徴:使い方によっては錆びやすい、お湯に鉄分が溶出することで鉄分補給できる(らしい)
急須(またはティーポット)
見分けかた:内側にホーロー加工(つやつやしてます)
色:黒のほか、パステルカラーなど豊富。
価格帯:家庭用で5千円台〜1万2千円くらい
直火:不可
特徴:錆びにくい
※一部「急須・鉄瓶兼用」という商品があり、鉄瓶の特徴と同じ仕様です
今回はお湯を沸かす用途のため「鉄瓶」に絞って探しました。
サイズと重さ、実際の容量、デザイン、価格
サイズと重さ
購入品はサイズ17.5×15×17cm、重さ約1kg(蓋0.2kg、本体0.8kg)。
なにせ鉄製品なので、大きくなるほどずっしり重くなります。普通の鍋とル・クルーゼやストウブの重量感の違い、といえばわかりやすいでしょうか。個人的には満水でも片手で普通に扱える重さのほうが使い勝手が良いので、実際に持ってみる経験をしてから購入することをおすすめします。(このあたり後述します)
実際の容量
購入品は0.9L。ただし購入時に「満タンでなく8〜9割くらいの水量で沸かしてね」との説明があり、一度に沸かすことのできる水量を量ったところおおよそ0.65L〜0.7Lでした。これより多いと沸騰した際に注ぎ口から吹き出して来ることがあるので注意です。
目安はお茶やコーヒーだと約3杯分、スープだと2杯分、カップラーメンだと1〜2杯分。
また、店頭で見かける鉄瓶は1.2L~のものが多いです。
デザイン
初めてなので、南部鉄瓶といえばコレ!な定番のひとつ「アラレ」を選びました。
価格
購入品は税込8,500円(当時)。
鉄瓶の価格は1L前後のもので6千円台~10万円台以上…と、かなりピンキリ。高価なものは職人の手によるものであったり、茶道や観賞用などにも用いられるようです。家庭用と思われるものは3万円台くらいまで。
使ってみて
コツが要る点
やっぱり重い
購入品は本体重量0.8kg、これに水を入れると1.5kg(未開封の1.5Lペットボトルを連想するとわかりやすいかも)。まだ片手で扱うことができますが、更に容量の大きいものになると本体+水の重みが増すので扱いが手軽ではなくなりそうです。
鉉(つる:持ち手)が熱い!
鍋つかみ等を使って持ちますが、つるが細めでスルスル滑りやすいのでしっかり握らないと危険。慣れてからは問題無く使えています。
高級なものだと、つるの中が空洞に作られていて熱くないものもあるそう。
錆びやすい?お手入れが面倒?
鉄瓶の欠点として「錆びやすい」ことが挙げられますが、これも使い方のコツさえ覚えれば錆びさせずに使えます。 写真を撮ってみました。
1.お湯を沸かしたら
2.お湯を全部注ぎきってしまえば、内側は余熱で乾いていきます
3.どんどん乾いて
4.数秒〜数十秒で、からり。念のためしばらく蓋をせず置いておけば更に錆び知らず
といった具合。
良かった点
お湯がやわらかい
鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかな口当たり。使用していくことで内部に赤い斑点や白い湯垢が付着し、お湯を美味しくしていくそう(こうして「育てていく」という言い方がされています)。よく言われる鉄分補給についてはあくまで補助的なものだそうなので、おまけのように捉えています。
容量がちょうど良かった
片手で扱うことができて、お茶やそのほかの用途にも合う容量でした。
ちょうどバルミューダの電気ケトルも600mlの容量と知って、これは同じような感覚だなと納得したところです。
燗酒にも合います
ふと思いついて、お燗をつけるのに使ってみたところ…
渋い!ぬる燗おいしい!
更に愛着がわきました。
瓶敷も揃えると、なおよし
これは鉄瓶と同じ鉄製の敷物、いわゆる鍋敷きの役割を果たすもの。「瓶敷」「釜敷」「トリベット」と呼び名や用途は少しずつ違いますが、鉄瓶や急須と揃えると使い勝手と見た目が更に良くなります。価格帯は2000円〜5000円くらい。
我が家では岩鋳のトリベットを使用しています。結婚式の引き出物で頂きました。
足の部分にはカバーが付いていて、テーブルを傷つけずに使えるようになっています。
異なる製造元の鉄瓶と合わせても違和感がありません。
今っぽいデザインのものや、カラーの急須に合わせたカラフルなものもあります。
実物を見て選ぶなら
特に鉄瓶を購入する場合、実物をいくつか見たり手に取ってみることを強くおすすめします。普通のやかんとは重みが違うので、大きいものだと重くて使うのが億劫になるかも。このことを踏まえて、普段の用途に合いそうな大きさを判断して購入する方が失敗が少ないと思います。
東京都内のお店で探すなら
百貨店や雑貨店の売場を十数箇所見てみました。その中で特に品揃えの良かったお店についてざっくり書いてみます。(2016年夏時点。現在は変わっている可能性もあります)
渋谷
・東急ハンズ渋谷店:鉄瓶も急須も豊富。鉄瓶はシンプルなもの、急須はカラー中心。南部鉄器の鍋やスキレットも。
・渋谷ロフト:カラーの急須中心、色味もデザインも可愛い雑貨的な品揃え。
新宿
・新宿タカシマヤ:同一フロアにある「台所用品売場」と「暮らしの工芸品売場」のそれぞれに豊富な品揃え。鉄瓶も急須もそれぞれ10種類以上。たこ焼き器や鍋類もありました。
銀座
・ラオックス銀座本店:「国内最大規模の南部鉄器コーナー」と宣伝している通り、鉄瓶も急須も数十種類。瓶敷も10種類以上あります。
・銀座三越:急須中心。輸出用に生産されヨーロッパで人気となり、カラー急須人気の火付け役になったアンシャンテの商品が多めです。
そのほかの地域で探すなら
岩手県内で工房を見て回るとそれぞれの特徴が見られたり説明が聞けたりして良いのですが、そうもいかなければ各地の百貨店や東急ハンズへどうぞ。鉄瓶はキッチン用品コーナーにひとつは置いてあることが多いです。
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普段はキッチンに出したまま。それでも黒一色の見た目がうるさくないし、お湯がしゅんしゅん沸いていく音も良いし、とても気に入っています。
「丁寧な暮らし」みたいなことはさっぱりできないタイプですが、好みのものが日常生活の中にあると機嫌よく生きていけるんだなあ、と購入から2年半後にも実感している買い物です。この記事が、購入を検討している方にもお役に立ちますように。
大阪でしか手に入らない、特別なチーズケーキ/デリチュース
長野から電車を乗り継いで、昨年春まで住んでいた大阪に行ってきました。
滞在の最後に買ったのは大好物、ケーキ屋さん Delicius(デリチュース)の店名が付けられたチーズケーキ。
ホールサイズの中では一番小さい直径12cmを購入。持ち歩き時間から別売りの保冷バッグをおすすめされ、それに大きめの保冷剤を付けて頂いた状態で持ち帰りました。
箱にもまた小さな保冷剤が仕込まれています。写真では分かりづらいですが、蓋につながる背面以外の側面に3つも。
夏場の生菓子の持ち帰り、なかなか難しいですね。
こんな大きさ。自然な甘さで、普通に甘いもの好きなひとなら一度に半分くらいいけちゃいます。
断面を見ると更にシンプルさが際立ちます。
杏ジャム、チーズぎっしり、タルト生地。以上。
写真を撮っていたら杏ジャムがとろけてきたので、早々にいただきました。
ほどよく甘くてほんのり酸味のあるジャム、甘くなく濃厚で上品な風味のチーズ、口の中でほろっと崩れるタルト生地。この組み合わせが一見シンプルなのに中毒的で、なんとも後を引きます。
美味しさの秘密はチーズにあるようです。
大阪には古くは「りくろーおじさんのチーズケーキ」、また近年は全国展開で知られる「PABLO」と言ったチーズケーキ類の有名店がありますが、そのどちらとも異なる路線のチーズケーキです。
デリチュースは梅田から電車とバスで小一時間の地・箕面市小野原にある2002年開業のお店。元々は「郊外の住宅地にある小さなケーキ屋さん」といった趣のお店でした。
2006年頃にこの近隣に住んでいた友人からご馳走されて以来、もう定期的に食べたいリスト入り。他のケーキや焼き菓子も美味しいお店なのですが、この「デリチュース」の美味しさのインパクトが強くて結局こればかり選んでいました。
ワインにもとても合うのが禁断的で、カロリーを気にしながら友人たちと食べて呑んでひたすら語らったりしたものです。
その数年後にはマンション1Fに入居していた最初の店舗から、近隣にお店の建物を建てて拡大移転。雑誌などで見かけることも増え、今では大阪のスイーツ好きにはお馴染みのようです。
2016年8月現在では箕面の本店の他には大阪駅1Fと、その隣接の伊勢丹地下にある店舗で購入可能。大阪駅1Fの「DELI CAFE 大阪North」ではイートインのメニューに入っています。また常設コーナーなのかどうかは不明ですが、新大阪駅の改札内でも販売されているとか。
元々は転勤という理由のみで移り住んだ土地でしたし、環境に合わせられず悩んだ時期も長かったのですが。離れてみると「おかえり!」と歓迎してくれる方々や久々の場所、味、気質。恋しく思っていたものがたくさんありました。
気付けば地元の次に長く住んでいたし、自分にとって故郷のひとつになったのかもしれません。大阪。
また帰りますね。