読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日々えらぶもの

おもに実際にえらんだもの、触れたものについてあれこれ

まっくろ鉄製やかんで湯沸かし/南部鉄瓶

生まれも育ちも盛岡で、南部鉄器は小さい頃から身近なものというより…そこらへんにあるものでした。
小学校の卒業記念品が南部鉄器のペン立てだったり。
家に南部鉄器のたこやき器があったり。
会社や学校の応接間には、必ず南部鉄器の大きな灰皿が鎮座していたり。
(こんなの)

まっくろ、ずっしり、ごつごつしたそれらに特に愛着はありませんでしたが、地元を離れて身近で見かけなくなってみると、妙に愛おしく見えるようになってくるんですね。

以前プレゼントで使った急須も可愛かったし、近年ではカラーの鉄器も増えてデザインや色の幅もぐっと広がっています。そろそろ自分用の鉄瓶を買ってみようかな。
やかんの割にはお値段も張るし長く使えそうなものなので、帰省の度に工房やお店を少しずつ見て回ること数年。やっと購入したのが2014年春のことです。

f:id:finir:20141215234442j:plain

地元の伝統工芸やお菓子の工房を集めた施設「盛岡手づくり村」にある藤枝工房さんで、小ぶりな「7型あられ」(0.9L)を選びました。
南部鉄瓶には使い方にいくつかコツがあります、それさえ守れば一生どころか何代も使えるよ〜と長口上のような説明を聞いて購入。

それから2年半、ほぼ毎日快適に使っています。じっくり検討して良い買い物ができました。
検討する際のポイントが色々あるのと、それがまとめられている記事がネット上には案外少ないのでは?と思い、購入品の感想とともに書いてみます。

えらぶ際のポイント

お湯を沸かすのか、お茶を淹れるのか

「鉄瓶」と「急須」はどちらも「南部鉄瓶」と言われがちなのですが、このような違いがあります。

鉄瓶(=やかん)
 見分けかた:内側にコーティングなし(鉄そのまま)
 色:黒のみ
 価格帯:家庭用で6千円台〜3万円くらい
 直火:可(弱火のみ)
 特徴:使い方によっては錆びやすい、お湯に鉄分が溶出することで鉄分補給できる(らしい)

f:id:finir:20141215234445j:plain 鉄瓶の本体内側(使い始めて1か月後)

急須(またはティーポット)
 見分けかた:内側にホーロー加工(つやつやしてます)
 色:黒のほか、パステルカラーなど豊富。
 価格帯:家庭用で5千円台〜1万2千円くらい
 直火:不可
 特徴:錆びにくい
 ※一部「急須・鉄瓶兼用」という商品があり、鉄瓶の特徴と同じ仕様です

f:id:finir:20141215234452j:plain 急須の本体内側(ホーロー加工)

今回はお湯を沸かす用途のため「鉄瓶」に絞って探しました。

サイズと重さ、実際の容量、デザイン、価格

サイズと重さ
購入品はサイズ17.5×15×17cm、重さ約1kg(蓋0.2kg、本体0.8kg)。
なにせ鉄製品なので、大きくなるほどずっしり重くなります。普通の鍋とル・クルーゼやストウブの重量感の違い、といえばわかりやすいでしょうか。個人的には満水でも片手で普通に扱える重さのほうが使い勝手が良いので、実際に持ってみる経験をしてから購入することをおすすめします。(このあたり後述します)

実際の容量
購入品は0.9L。ただし購入時に「満タンでなく8〜9割くらいの水量で沸かしてね」との説明があり、一度に沸かすことのできる水量を量ったところおおよそ0.65L〜0.7Lでした。これより多いと沸騰した際に注ぎ口から吹き出して来ることがあるので注意です。
目安はお茶やコーヒーだと約3杯分、スープだと2杯分、カップラーメンだと1〜2杯分。
また、店頭で見かける鉄瓶は1.2L~のものが多いです。

デザイン
初めてなので、南部鉄瓶といえばコレ!な定番のひとつ「アラレ」を選びました。

価格
購入品は税込8,500円(当時)。
鉄瓶の価格は1L前後のもので6千円台~10万円台以上…と、かなりピンキリ。高価なものは職人の手によるものであったり、茶道や観賞用などにも用いられるようです。家庭用と思われるものは3万円台くらいまで。

 

使ってみて

コツが要る点

やっぱり重い
購入品は本体重量0.8kg、これに水を入れると1.5kg(未開封の1.5Lペットボトルを連想するとわかりやすいかも)。まだ片手で扱うことができますが、更に容量の大きいものになると本体+水の重みが増すので扱いが手軽ではなくなりそうです。

鉉(つる:持ち手)が熱い!
鍋つかみ等を使って持ちますが、つるが細めでスルスル滑りやすいのでしっかり握らないと危険。慣れてからは問題無く使えています。
高級なものだと、つるの中が空洞に作られていて熱くないものもあるそう。

錆びやすい?お手入れが面倒?
鉄瓶の欠点として「錆びやすい」ことが挙げられますが、これも使い方のコツさえ覚えれば錆びさせずに使えます。 写真を撮ってみました。
f:id:finir:20161025125846j:plain1.お湯を沸かしたら

f:id:finir:20161025125845j:plain2.お湯を全部注ぎきってしまえば、内側は余熱で乾いていきます

f:id:finir:20161025125844j:plain3.どんどん乾いて

f:id:finir:20161025125843j:plain4.数秒〜数十秒で、からり。念のためしばらく蓋をせず置いておけば更に錆び知らず
といった具合。 

良かった点

お湯がやわらかい
鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかな口当たり。使用していくことで内部に赤い斑点や白い湯垢が付着し、お湯を美味しくしていくそう(こうして「育てていく」という言い方がされています)。よく言われる鉄分補給についてはあくまで補助的なものだそうなので、おまけのように捉えています。

容量がちょうど良かった
片手で扱うことができて、お茶やそのほかの用途にも合う容量でした。
ちょうどバルミューダの電気ケトルも600mlの容量と知って、これは同じような感覚だなと納得したところです。

燗酒にも合います
ふと思いついて、お燗をつけるのに使ってみたところ…
f:id:finir:20161026231729j:plain
渋い!ぬる燗おいしい!
更に愛着がわきました。

 

瓶敷も揃えると、なおよし

これは鉄瓶と同じ鉄製の敷物、いわゆる鍋敷きの役割を果たすもの。「瓶敷」「釜敷」「トリベット」と呼び名や用途は少しずつ違いますが、鉄瓶や急須と揃えると使い勝手と見た目が更に良くなります。価格帯は2000円〜5000円くらい。

我が家では岩鋳のトリベットを使用しています。結婚式の引き出物で頂きました。f:id:finir:20141215234448j:plain

f:id:finir:20141215234451j:plain足の部分にはカバーが付いていて、テーブルを傷つけずに使えるようになっています。

f:id:finir:20141215234447j:plain異なる製造元の鉄瓶と合わせても違和感がありません。

今っぽいデザインのものや、カラーの急須に合わせたカラフルなものもあります。

実物を見て選ぶなら

特に鉄瓶を購入する場合、実物をいくつか見たり手に取ってみることを強くおすすめします。普通のやかんとは重みが違うので、大きいものだと重くて使うのが億劫になるかも。このことを踏まえて、普段の用途に合いそうな大きさを判断して購入する方が失敗が少ないと思います。

東京都内のお店で探すなら

百貨店や雑貨店の売場を十数箇所見てみました。その中で特に品揃えの良かったお店についてざっくり書いてみます。(2016年夏時点。現在は変わっている可能性もあります)

渋谷
東急ハンズ渋谷店:鉄瓶も急須も豊富。鉄瓶はシンプルなもの、急須はカラー中心。南部鉄器の鍋やスキレットも。
渋谷ロフト:カラーの急須中心、色味もデザインも可愛い雑貨的な品揃え。

新宿
新宿タカシマヤ:同一フロアにある「台所用品売場」と「暮らしの工芸品売場」のそれぞれに豊富な品揃え。鉄瓶も急須もそれぞれ10種類以上。たこ焼き器や鍋類もありました。

銀座
ラオックス銀座本店:「国内最大規模の南部鉄器コーナー」と宣伝している通り、鉄瓶も急須も数十種類。瓶敷も10種類以上あります。
銀座三越:急須中心。輸出用に生産されヨーロッパで人気となり、カラー急須人気の火付け役になったアンシャンテの商品が多めです。

そのほかの地域で探すなら 

岩手県内で工房を見て回るとそれぞれの特徴が見られたり説明が聞けたりして良いのですが、そうもいかなければ各地の百貨店や東急ハンズへどうぞ。鉄瓶はキッチン用品コーナーにひとつは置いてあることが多いです。

-----

f:id:finir:20150706231835j:plain普段はキッチンに出したまま。それでも黒一色の見た目がうるさくないし、お湯がしゅんしゅん沸いていく音も良いし、とても気に入っています。

「丁寧な暮らし」みたいなことはさっぱりできないタイプですが、好みのものが日常生活の中にあると機嫌よく生きていけるんだなあ、と購入から2年半後にも実感している買い物です。この記事が、購入を検討している方にもお役に立ちますように。