あるバンドのファンのお買いもの/マリーさんの指輪
THE YELLOW MONKEY 初期のアルバム
2nd「未公開のエクスペリエンス・ムービー」(1993年作)
3rd「jaguar hard pain」(1994年作)
この2作のジャケットに写っている指輪のお話。
当時の作品や活動は音楽誌で「シアトリカル」と評され、特に物語性の強いコンセプトアルバム「jaguar hard pain」は、強い自信と独特な美意識を燃えたぎらせたような濃い作品でした。
この頃、吉井さん扮する「マリー」という、憂いを含んだ女性が作中やライブに登場します。彼女のトレードマークは黒いロングドレスと帽子、そして大振りな指輪。
◆マリーさんが登場するMV
THE YELLOW MONKEY「アバンギャルドで行こうよ」 - YouTube
◆ライブでバラードを歌うマリーさん
きっと高いものなんだろうなーと思っていましたが、同じデザインのものを新宿の手芸用品店「オカダヤ」で売っていたと知ります。それは意外。
バンドが既に解散した後の2007年頃、まだあるかな?と興味本位で売場に行ってみました。
昭和の名残があるビル、案内板に掲げられた大量の分類から「服飾館」の「ステージグッズ&メイク」フロアに当たりを付けて入店。
舞台用のメイク道具、血のり、つけひげ、仮面、天使の翼、照明に映えるべく実際の宝石よりギラギラしたアクセサリー…商品の種類と量に圧倒されます。
マリーさんの指輪は、ステージ用アクセサリー売場に大小2サイズ/4色くらい並んでいました。大きいほうが実物と近いサイズのようですが、緑色は小さいほうしか見当たりません。
ベテランぽい店員さんに尋ねます。
「ああー、それ。歌手の人が使ってたとかで買いに来る方が多くて。最近はあまり訊かれないけどね」
その色・サイズだけよく売れたため、製造元にも在庫が無いとのこと。
本物も偽物も、綺麗なものもそうでないものも沢山ある新宿の、雑多なお店で。
確証はありませんが、もし実際に使われているのもこの指輪だとしたら、ご本人かスタイリング担当の方が宝探しのように選びだしてドラマティックに使っていったのだなあ。
そして、何人ものファンがここに買いに来たんだろうなー。
しみじみ思いを馳せました。
当時の作品には「死んだら新聞に載るようなロック・スターに」なんて歌詞もあり。大風呂敷広げてる~と思ってたけど、それを成し遂げていく姿も見ていったので…
その野心、私も持っていたい。
小さいほうの指輪を購入しました。
ギラッとしたこの指輪を身に着ける機会はほとんどありませんが
野心や折れてもまた立ち上がる姿勢を思い出させてくれるようで、日々目にする場所に置いています。
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ちなみに、ロンググローブと指輪をコスチュームジュエリーっぽく合わせて遊びに出たことが一度あります。
その日は、好きなイギリスのロックバンドに偶然遭遇したり。
初対面の方と、同じインディーのロックバンドに関わったことがあることが判明したり、しかもそのバンドにお互い思い入れが強くて良さを語り合うなど。
ストレスでくたびれていた心身に、新鮮な刺激を注がれました。
そんな幸運のアイテム。