深堀隆介 回顧展 金魚養画場〜鱗の向こう側〜(覚え書き)
西武渋谷店で行われている展示を観てきました。
金魚をテーマにした樹脂作品で人気の金魚絵師 深堀隆介が”金魚生誕15周年”を記念した初の回顧展を開催。
枡に入った立体絵画「金魚酒」、いつか実物を見てみたかったので。
入場券の購入列に60〜70人、10分少々並んで購入すると即入場。ただ場内も混んでいるので、詰まっている最初のゾーンは順番待ちのように並んで観ていきます。
スマホでの静止画の撮影に限り可(フラッシュ撮影不可)との案内板あり。シャッター音とため息と感嘆の声が絶えない場内です。ちびっこから老婦人まで広い世代の方々が集まっていて、百貨店での展示っぽいざわざわした感じも不快ではありませんでした。
展示ゾーンは4つ。
1.金魚に魅せられ、描き始めた初期作品から代表作「金魚酒」に至るまで
プロフィールと共に語られる、金魚の作品を作るようになったきっかけ「金魚救い」の話と初期作品。最初に樹脂を流し入れて金魚を描いた器はしめじのプラスチック容器で、こちらはサブレのプラスチック容器です。
器に樹脂を流し込み、固まるまで2日。一部分を描いて、また樹脂を流し込んで2日…の繰り返しで出来ていくとのこと。初期作品はまだ平面っぽさが残っていて、この樹脂と絵の層を増やしていくことで立体感を増していったのかな?と想像します。
2.深堀隆介の原点となる金魚への思いとその作品たち
開けたスペースに、大型の作品たちが並びます。
金魚の下には影まで映り込みます。でも真横から見ると金魚は見えなくなるという。
この感じは動画が伝わりやすいかもしれません。
1m×2mくらいの絵画も。
絵の優美さに額縁のゴツさが合っています。
3.柿右衛門・会津塗など、日本の様々な伝統的芸術作品とのコラボレーション
陶器や漆器の器に入った金魚。時間を止めて閉じ込めたような姿と器の美しさが全て実物大で、見ているこちらの時間も止まるかのようです。
ガラスの器は特に涼しげ。
バカラの器を使用した作品。
4.金魚とさまざまな対象物の調和 深堀隆介が目指す、これからの作品観
最後のゾーンは「この人、ほんと金魚好きなんだな…」と思わされる自由な作品群。
中でもこちらがチャーミングでした。
アトリエを再現したコーナー。ここで実演を行った日もあったそうです。
漫画家・さくらももこさんが作った器での作品たち。
金魚がいた気配を濃く残す、寿司桶。
鱗だけでも金魚っぽさが出るのですね。
白磁の様々な像を金魚に寄せていくような新作シリーズは撮り損ね。
こちらの写真特集に見つけました。
グッズ販売コーナーの壁にはメッセージ。かわいい。
クリアファイルを買って会場を後にしました。
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点数は多くなかったものの、前半に配置されていた大型の絵画作品たちも大変見応えがありました。背びれや尾びれの幽玄なゆらめき。手のひらサイズの樹脂作品たちから、ダイナミックで繊細なこれらの作品まで。
なかなかの混雑で落ち着いて観るわけにはいきませんでしたが、良かったです。「金魚」というテーマだけを抱き締めてどんどんはみ出していく作品たちを観ることができました。これまでの総括とこれからが示されている初の回顧展、出くわすことができてラッキーでした。