この柔らかさをどう伝えよう。白亜器の個展「掌のなかで」
数ヶ月前に「猫徳利」なる写真をTwitterで見かけて非常に気になり、実物を見てみたいなーと機会を伺っていました。陶器のうつわや猫雑貨を作られている「白亜器」さんの作品です。
猫徳利も鎮座してみなさまのお越しをお待ちしております☆彡#ねこまつり #湯島 #猫 #白亜器 #徳利 pic.twitter.com/HXlTVgalJ3
— 東京・湯島 王冠印雑貨店 (@Zakkaya_Oukan) 2016年3月5日
今月頭の東京滞在中、南高円寺のカフェギャラリー「mo mo mo」で個展が行なわれていると知り行ってみました。賑やかなパル商店街から路地に入り、各種小さなお店とスーパーとが向かい合うあたりに到着。途中、古着屋さんの前を通るたびに目移りします。
カフェなのでまずは飲み物を。このカップも白亜器さんの「たまごカップ」だそうです。さらさらとなめらか、卵の殻のようなずっと触っていたくなる手触り。サイフォンのコーヒーおいしいです。
だんだん日が落ちてきました。一息ついてから店内を見学します。
夕日が差し込んで居心地の良い時間。目の前には、上が淡い水色/下がみたらし色の品の良いお猪口。
(以下、写真OKのとのことでスマホで撮っていますが、作品についてはもっともっと良い写真をweb上でたくさん見ることができますので公式サイトや画像検索がおすすめです)
置物「つるしねこ」たち。
奥の棚には「たまごカップ」。
その他、柔らかい白、たまに黒のうつわも並びます。
店内中央には猫の大物「猫香炉」が鎮座。上半身を開けると、おなかの中にはお香立て。お香を焚いて上半身を被せると、口から煙が ぷか〜… と漂うという作品。存在感抜群です。(売約済みでした)
中はこんな感じです。焚いているところは見ていませんが、良さそう。
猫香炉の構造と解説☆彡
— 東京・湯島 王冠印雑貨店 (@Zakkaya_Oukan) 2016年3月13日
お腹をぱかっと開けるとお香立てが入っています。コーンとスティックどちらも使用できます。外国製のお香はあまり向いていないようです。お香を焚くと猫が煙を吐きます。#王冠印雑貨店 #湯島 #猫 #白亜器 pic.twitter.com/7kutElYCb8
お客さまからのリクエストで猫香炉でお香を焚きました(^-^)/やっぱりかわいい♪こちらの猫香炉はオーダーで承っております。#香炉 #猫 #白亜器 #王冠印雑貨店 #湯島 #御茶ノ水 #本郷 #末広町 #雑貨屋 pic.twitter.com/J5wQpUXDjD
— 東京・湯島 王冠印雑貨店 (@Zakkaya_Oukan) 2016年10月9日
そして、猫徳利ともご対面。お隣には猫がくつろぐお猪口も。
そーっと触ったり持ち上げたり見つめたりしました。かわいい……。
掲げているお猪口?の底には穴が空いていて猫と一体のとっくり型。茶色の模様部分だけつるっとした手触り。ぽてっとした体型にこの姿勢や表情、なんとも言えない健気さです。
猫香炉も猫徳利も、造形の良さと発明の要素が組み合わされているところが唯一無二の良さだなあと感じます。
ほかの一角には猫の箸置きたち。
あれもこれも欲しい。散々悩んで、今回はシンプルなボウルをひとつ購入しました。両手で持ったときすっぽり収まる大きさと丸さ、そしてたまごカップと同じ手触りの良さ。クリーム色がかった白い柔らかい色。おやつを入れたりして使おうと思います。
店内に掲示されていたこちらの文も気に入ったので、まずはうつわだな、と。
猫徳利にもやっぱり強烈に惹かれるので、もうちょっと検討してみます。
個展は既に終了していますが、実物の質感や存在感がまたいいので、いずれまた目にする機会も見つけたいところです。そのときは誰か誘って行こうっと。
まっくろ鉄製やかんで湯沸かし/南部鉄瓶
生まれも育ちも盛岡で、南部鉄器は小さい頃から身近なものというより…そこらへんにあるものでした。
小学校の卒業記念品が南部鉄器のペン立てだったり。
家に南部鉄器のたこやき器があったり。
会社や学校の応接間には、必ず南部鉄器の大きな灰皿が鎮座していたり。
(こんなの)
まっくろ、ずっしり、ごつごつしたそれらに特に愛着はありませんでしたが、地元を離れて身近で見かけなくなってみると、妙に愛おしく見えるようになってくるんですね。
以前プレゼントで使った急須も可愛かったし、近年ではカラーの鉄器も増えてデザインや色の幅もぐっと広がっています。そろそろ自分用の鉄瓶を買ってみようかな。
やかんの割にはお値段も張るし長く使えそうなものなので、帰省の度に工房やお店を少しずつ見て回ること数年。やっと購入したのが2014年春のことです。
地元の伝統工芸やお菓子の工房を集めた施設「盛岡手づくり村」にある藤枝工房さんで、小ぶりな「7型あられ」(0.9L)を選びました。
南部鉄瓶には使い方にいくつかコツがあります、それさえ守れば一生どころか何代も使えるよ〜と長口上のような説明を聞いて購入。
それから2年半、ほぼ毎日快適に使っています。じっくり検討して良い買い物ができました。
検討する際のポイントが色々あるのと、それがまとめられている記事がネット上には案外少ないのでは?と思い、購入品の感想とともに書いてみます。
えらぶ際のポイント
お湯を沸かすのか、お茶を淹れるのか
「鉄瓶」と「急須」はどちらも「南部鉄瓶」と言われがちなのですが、このような違いがあります。
鉄瓶(=やかん)
見分けかた:内側にコーティングなし(鉄そのまま)
色:黒のみ
価格帯:家庭用で6千円台〜3万円くらい
直火:可(弱火のみ)
特徴:使い方によっては錆びやすい、お湯に鉄分が溶出することで鉄分補給できる(らしい)
急須(またはティーポット)
見分けかた:内側にホーロー加工(つやつやしてます)
色:黒のほか、パステルカラーなど豊富。
価格帯:家庭用で5千円台〜1万2千円くらい
直火:不可
特徴:錆びにくい
※一部「急須・鉄瓶兼用」という商品があり、鉄瓶の特徴と同じ仕様です
今回はお湯を沸かす用途のため「鉄瓶」に絞って探しました。
サイズと重さ、実際の容量、デザイン、価格
サイズと重さ
購入品はサイズ17.5×15×17cm、重さ約1kg(蓋0.2kg、本体0.8kg)。
なにせ鉄製品なので、大きくなるほどずっしり重くなります。普通の鍋とル・クルーゼやストウブの重量感の違い、といえばわかりやすいでしょうか。個人的には満水でも片手で普通に扱える重さのほうが使い勝手が良いので、実際に持ってみる経験をしてから購入することをおすすめします。(このあたり後述します)
実際の容量
購入品は0.9L。ただし購入時に「満タンでなく8〜9割くらいの水量で沸かしてね」との説明があり、一度に沸かすことのできる水量を量ったところおおよそ0.65L〜0.7Lでした。これより多いと沸騰した際に注ぎ口から吹き出して来ることがあるので注意です。
目安はお茶やコーヒーだと約3杯分、スープだと2杯分、カップラーメンだと1〜2杯分。
また、店頭で見かける鉄瓶は1.2L~のものが多いです。
デザイン
初めてなので、南部鉄瓶といえばコレ!な定番のひとつ「アラレ」を選びました。
価格
購入品は税込8,500円(当時)。
鉄瓶の価格は1L前後のもので6千円台~10万円台以上…と、かなりピンキリ。高価なものは職人の手によるものであったり、茶道や観賞用などにも用いられるようです。家庭用と思われるものは3万円台くらいまで。
使ってみて
コツが要る点
やっぱり重い
購入品は本体重量0.8kg、これに水を入れると1.5kg(未開封の1.5Lペットボトルを連想するとわかりやすいかも)。まだ片手で扱うことができますが、更に容量の大きいものになると本体+水の重みが増すので扱いが手軽ではなくなりそうです。
鉉(つる:持ち手)が熱い!
鍋つかみ等を使って持ちますが、つるが細めでスルスル滑りやすいのでしっかり握らないと危険。慣れてからは問題無く使えています。
高級なものだと、つるの中が空洞に作られていて熱くないものもあるそう。
錆びやすい?お手入れが面倒?
鉄瓶の欠点として「錆びやすい」ことが挙げられますが、これも使い方のコツさえ覚えれば錆びさせずに使えます。 写真を撮ってみました。
1.お湯を沸かしたら
2.お湯を全部注ぎきってしまえば、内側は余熱で乾いていきます
3.どんどん乾いて
4.数秒〜数十秒で、からり。念のためしばらく蓋をせず置いておけば更に錆び知らず
といった具合。
良かった点
お湯がやわらかい
鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかな口当たり。使用していくことで内部に赤い斑点や白い湯垢が付着し、お湯を美味しくしていくそう(こうして「育てていく」という言い方がされています)。よく言われる鉄分補給についてはあくまで補助的なものだそうなので、おまけのように捉えています。
容量がちょうど良かった
片手で扱うことができて、お茶やそのほかの用途にも合う容量でした。
ちょうどバルミューダの電気ケトルも600mlの容量と知って、これは同じような感覚だなと納得したところです。
燗酒にも合います
ふと思いついて、お燗をつけるのに使ってみたところ…
渋い!ぬる燗おいしい!
更に愛着がわきました。
瓶敷も揃えると、なおよし
これは鉄瓶と同じ鉄製の敷物、いわゆる鍋敷きの役割を果たすもの。「瓶敷」「釜敷」「トリベット」と呼び名や用途は少しずつ違いますが、鉄瓶や急須と揃えると使い勝手と見た目が更に良くなります。価格帯は2000円〜5000円くらい。
我が家では岩鋳のトリベットを使用しています。結婚式の引き出物で頂きました。
足の部分にはカバーが付いていて、テーブルを傷つけずに使えるようになっています。
異なる製造元の鉄瓶と合わせても違和感がありません。
今っぽいデザインのものや、カラーの急須に合わせたカラフルなものもあります。
実物を見て選ぶなら
特に鉄瓶を購入する場合、実物をいくつか見たり手に取ってみることを強くおすすめします。普通のやかんとは重みが違うので、大きいものだと重くて使うのが億劫になるかも。このことを踏まえて、普段の用途に合いそうな大きさを判断して購入する方が失敗が少ないと思います。
東京都内のお店で探すなら
百貨店や雑貨店の売場を十数箇所見てみました。その中で特に品揃えの良かったお店についてざっくり書いてみます。(2016年夏時点。現在は変わっている可能性もあります)
渋谷
・東急ハンズ渋谷店:鉄瓶も急須も豊富。鉄瓶はシンプルなもの、急須はカラー中心。南部鉄器の鍋やスキレットも。
・渋谷ロフト:カラーの急須中心、色味もデザインも可愛い雑貨的な品揃え。
新宿
・新宿タカシマヤ:同一フロアにある「台所用品売場」と「暮らしの工芸品売場」のそれぞれに豊富な品揃え。鉄瓶も急須もそれぞれ10種類以上。たこ焼き器や鍋類もありました。
銀座
・ラオックス銀座本店:「国内最大規模の南部鉄器コーナー」と宣伝している通り、鉄瓶も急須も数十種類。瓶敷も10種類以上あります。
・銀座三越:急須中心。輸出用に生産されヨーロッパで人気となり、カラー急須人気の火付け役になったアンシャンテの商品が多めです。
そのほかの地域で探すなら
岩手県内で工房を見て回るとそれぞれの特徴が見られたり説明が聞けたりして良いのですが、そうもいかなければ各地の百貨店や東急ハンズへどうぞ。鉄瓶はキッチン用品コーナーにひとつは置いてあることが多いです。
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普段はキッチンに出したまま。それでも黒一色の見た目がうるさくないし、お湯がしゅんしゅん沸いていく音も良いし、とても気に入っています。
「丁寧な暮らし」みたいなことはさっぱりできないタイプですが、好みのものが日常生活の中にあると機嫌よく生きていけるんだなあ、と購入から2年半後にも実感している買い物です。この記事が、購入を検討している方にもお役に立ちますように。
大阪でしか手に入らない、特別なチーズケーキ/デリチュース
長野から電車を乗り継いで、昨年春まで住んでいた大阪に行ってきました。
滞在の最後に買ったのは大好物、ケーキ屋さん Delicius(デリチュース)の店名が付けられたチーズケーキ。
ホールサイズの中では一番小さい直径12cmを購入。持ち歩き時間から別売りの保冷バッグをおすすめされ、それに大きめの保冷剤を付けて頂いた状態で持ち帰りました。
箱にもまた小さな保冷剤が仕込まれています。写真では分かりづらいですが、蓋につながる背面以外の側面に3つも。
夏場の生菓子の持ち帰り、なかなか難しいですね。
こんな大きさ。自然な甘さで、普通に甘いもの好きなひとなら一度に半分くらいいけちゃいます。
断面を見ると更にシンプルさが際立ちます。
杏ジャム、チーズぎっしり、タルト生地。以上。
写真を撮っていたら杏ジャムがとろけてきたので、早々にいただきました。
ほどよく甘くてほんのり酸味のあるジャム、甘くなく濃厚で上品な風味のチーズ、口の中でほろっと崩れるタルト生地。この組み合わせが一見シンプルなのに中毒的で、なんとも後を引きます。
美味しさの秘密はチーズにあるようです。
大阪には古くは「りくろーおじさんのチーズケーキ」、また近年は全国展開で知られる「PABLO」と言ったチーズケーキ類の有名店がありますが、そのどちらとも異なる路線のチーズケーキです。
デリチュースは梅田から電車とバスで小一時間の地・箕面市小野原にある2002年開業のお店。元々は「郊外の住宅地にある小さなケーキ屋さん」といった趣のお店でした。
2006年頃にこの近隣に住んでいた友人からご馳走されて以来、もう定期的に食べたいリスト入り。他のケーキや焼き菓子も美味しいお店なのですが、この「デリチュース」の美味しさのインパクトが強くて結局こればかり選んでいました。
ワインにもとても合うのが禁断的で、カロリーを気にしながら友人たちと食べて呑んでひたすら語らったりしたものです。
その数年後にはマンション1Fに入居していた最初の店舗から、近隣にお店の建物を建てて拡大移転。雑誌などで見かけることも増え、今では大阪のスイーツ好きにはお馴染みのようです。
2016年8月現在では箕面の本店の他には大阪駅1Fと、その隣接の伊勢丹地下にある店舗で購入可能。大阪駅1Fの「DELI CAFE 大阪North」ではイートインのメニューに入っています。また常設コーナーなのかどうかは不明ですが、新大阪駅の改札内でも販売されているとか。
元々は転勤という理由のみで移り住んだ土地でしたし、環境に合わせられず悩んだ時期も長かったのですが。離れてみると「おかえり!」と歓迎してくれる方々や久々の場所、味、気質。恋しく思っていたものがたくさんありました。
気付けば地元の次に長く住んでいたし、自分にとって故郷のひとつになったのかもしれません。大阪。
また帰りますね。
深堀隆介 回顧展 金魚養画場〜鱗の向こう側〜(覚え書き)
西武渋谷店で行われている展示を観てきました。
金魚をテーマにした樹脂作品で人気の金魚絵師 深堀隆介が”金魚生誕15周年”を記念した初の回顧展を開催。
枡に入った立体絵画「金魚酒」、いつか実物を見てみたかったので。
入場券の購入列に60〜70人、10分少々並んで購入すると即入場。ただ場内も混んでいるので、詰まっている最初のゾーンは順番待ちのように並んで観ていきます。
スマホでの静止画の撮影に限り可(フラッシュ撮影不可)との案内板あり。シャッター音とため息と感嘆の声が絶えない場内です。ちびっこから老婦人まで広い世代の方々が集まっていて、百貨店での展示っぽいざわざわした感じも不快ではありませんでした。
展示ゾーンは4つ。
1.金魚に魅せられ、描き始めた初期作品から代表作「金魚酒」に至るまで
プロフィールと共に語られる、金魚の作品を作るようになったきっかけ「金魚救い」の話と初期作品。最初に樹脂を流し入れて金魚を描いた器はしめじのプラスチック容器で、こちらはサブレのプラスチック容器です。
器に樹脂を流し込み、固まるまで2日。一部分を描いて、また樹脂を流し込んで2日…の繰り返しで出来ていくとのこと。初期作品はまだ平面っぽさが残っていて、この樹脂と絵の層を増やしていくことで立体感を増していったのかな?と想像します。
2.深堀隆介の原点となる金魚への思いとその作品たち
開けたスペースに、大型の作品たちが並びます。
金魚の下には影まで映り込みます。でも真横から見ると金魚は見えなくなるという。
この感じは動画が伝わりやすいかもしれません。
1m×2mくらいの絵画も。
絵の優美さに額縁のゴツさが合っています。
3.柿右衛門・会津塗など、日本の様々な伝統的芸術作品とのコラボレーション
陶器や漆器の器に入った金魚。時間を止めて閉じ込めたような姿と器の美しさが全て実物大で、見ているこちらの時間も止まるかのようです。
ガラスの器は特に涼しげ。
バカラの器を使用した作品。
4.金魚とさまざまな対象物の調和 深堀隆介が目指す、これからの作品観
最後のゾーンは「この人、ほんと金魚好きなんだな…」と思わされる自由な作品群。
中でもこちらがチャーミングでした。
アトリエを再現したコーナー。ここで実演を行った日もあったそうです。
漫画家・さくらももこさんが作った器での作品たち。
金魚がいた気配を濃く残す、寿司桶。
鱗だけでも金魚っぽさが出るのですね。
白磁の様々な像を金魚に寄せていくような新作シリーズは撮り損ね。
こちらの写真特集に見つけました。
グッズ販売コーナーの壁にはメッセージ。かわいい。
クリアファイルを買って会場を後にしました。
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点数は多くなかったものの、前半に配置されていた大型の絵画作品たちも大変見応えがありました。背びれや尾びれの幽玄なゆらめき。手のひらサイズの樹脂作品たちから、ダイナミックで繊細なこれらの作品まで。
なかなかの混雑で落ち着いて観るわけにはいきませんでしたが、良かったです。「金魚」というテーマだけを抱き締めてどんどんはみ出していく作品たちを観ることができました。これまでの総括とこれからが示されている初の回顧展、出くわすことができてラッキーでした。
初心者がこども向けの本をえらぶ/しろくまちゃんのほっとけーき
※写真撮り忘れました
連休は数百キロ移動して帰省。最初だけ古着屋/雑貨屋/書店を散策したり地元のビールをわんさか飲んだりしましたが、その後はおとなしく実家へ。
散策中にふと、1歳半の姪っ子にプレゼント買って行こう!と思い立ちました。でも食べ物はまだ制限があるかもしれないし、服を選ぶにはちょっと時間が足りないかも。書店の絵本売り場に向かいます。
ノンタン、ぐりとぐら、しろくまちゃんのほっとけーき、からすのパンやさん(発売から40年経った2013年に続編が4冊も出ています)、11ぴきのねこ、わたしのワンピース、14ひきのあさごはん、おおきなおおきなおいも、おしいれのぼうけん……
小さい頃によく読んだ絵本たちも多く並んでいます。これって相当なロングセラーなのですね(あと当時から食べものの本を気に入ってたんだな、と実感しました)。
特にお気に入りだった「しろくまちゃんのほっとけーき」は、ピカっとつややかな橙色。今も昔も迷いの無い表紙にぐっときて手に取ります。これにしよう。
でも年齢的にはどのへんが妥当なんだろう?と見渡すと、うってつけの冊子が設置されていました。「いくつのえほん」(webでも読めます)。冊子内の目安によると、この本は2歳向け。じゃあ「ノンタン」とかよりはまだ持っていない可能性が高いと踏んで購入しました。
ラッピングしてもらった新品の絵本。他の贈り物を購入したときとはまた違う特別感があります。それなのに1000円もかからないとか、良いんでしょうか。また買いに行きます。
もちろん1歳半はまだ読めませんが、包みを開けると釘付け。ママの読み聞かせにご機嫌でした。次会うときには「ほっとけーき、たべる!」とか言ってるかな。
数日間を一緒に過ごして、ふかふかぽよぽよした抱き心地を楽しんだり、夜泣きに起こされたり、手をつないでお散歩したり。こどもは苦手な方だったのですが、すっかり好きになりました。仲良くしてくれてありがと。
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それから少し経った今日、小学校を転校した5年生のときのことを思い出しました。図書室通いが日課だった本好きの11歳に、担任の先生が最後に「まだちょっと難しいかもしれないけど、あなたならきっと解るよ」と手渡してくれた包み。中身は「星の王子さま」のハードカバーでした。
もし今わからなくても、もうちょっと大きくなってからまた読めばいいんだよ。
ぴかぴかの、自分のための本をもらう嬉しさ。
この思い出が今回の本選びに影響しているのかもしれません。